診療科のご案内

呼吸器内科

はじめに

 呼吸器内科は、総合診療科の協力を仰ぎ、肺炎、結核などの感染症、喘息、慢性閉塞性肺疾患などの気道病変、肺癌などの悪性腫瘍といった総ての呼吸器・肺疾患に対応しています。当科には、熱、寝汗、咳、痰、呼吸困難、胸痛などを訴えて受診する場合と、職場や地域の検診において胸部レントゲン異常の精密検査として受診する場合があります。初回受診日には喫煙歴を含んだ簡単な聞き取りと聴診、打診などの診察を経て、胸部レントゲン、血液・痰検査、必要に応じて肺機能検査を行い、おおよその病気・疾患の診断をつけ治療を行うことになります。ただ、これらの診療で確定しない場合には、胸部CTといった詳細な画像検査を受けていただきます。
 顕微鏡レベルでの詳細な細胞・組織検査が必要な場合には気管支検査などを行います。

対象疾患と診療内容
  1. 肺炎・気管支炎
    • 感染がほとんどで、感冒の主因であるウイルスや一般細菌が原因です。高齢の方では、口腔内細菌などを気管支・肺に吸入することで発症する誤嚥性肺炎も珍しくありません。ウイルスの中にはインフルエンザも含まれていますが、予防ワクチンがあり、高齢者、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病などを合併した方には毎年秋に接種するようお勧めしております。一般細菌の中で30-40%程度の原因菌が肺炎球菌で、これも高齢の方には予防ワクチンの接種を推奨しております。他には抗酸菌による肺炎もあります。その代表的なものは肺結核ですが、非結核性抗酸菌症にり患される方が多いです。肺結核は飛沫感染で人から人へ伝搬する感染症で、肺内から排菌している患者は隔離の必要があり、肺結核と診断された方は結核病棟を有する病院へ転院治療していただくことになります。一方、同じ肺抗酸菌症でも非結核性の方は人への感染の心配はなく、内服薬を用いた通院加療を行っています。
  2. 肺癌
    • 咳、血痰、胸痛などの症状をきっかけに受診される場合と検診異常として受診される場合があります。胸部CT検査と気管支鏡検査によって診断します。この疾患では転移の有無、癌の種類によって治療法が異なるため、脳MRI検査やPET-CT検査や細胞、組織検査が必要です。片方の肺内にとどまる癌の場合には切除術を受けていただくことが多く、足柄上病院でも受けられます。ただ少し複雑な手術の場合には連携している神奈川県立がんセンターに依頼しますが、術後には当院に戻っていただき、定期検診、体調管理を行っていきます。手術の対象とならない肺外に進展した癌は、抗癌剤または抗癌剤と放射線併用治療の対象となり、いずれも当院で治療を受けられます。近年、一般抗癌剤のみならず分子標的治療、免疫治療といった特殊な遺伝子の状態に則したオーダーメイド、分子標的治療が行われるようになりましたが、当院では遺伝子検査を行っており、分子標的治療も受けられます。一方、肺癌は難治癌の1つであり、国内外で新規治療法の開発の臨床試験を行っていますが、当院でも試験治療が行われています。
  3. 気道病変(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患など)
    • 呼吸困難、息切れ、咳などを生じます。気管支喘息はアレルギー性気道炎症が基本にあり、その炎症を抑える吸入ステロイド薬を中心に気管支拡張薬、抗アレルギー薬を病状に応じて使用しています。また、難治性の気管支喘息には新規の作用機序を持つ抗IgE抗体オマリズマブを用います。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入することで生じた肺の慢性炎症疾患で、肺機能上、正常に戻れない気流障害を示します。徐々に生じる労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰が特徴的です。禁煙が治療の基本ですが、吸入薬を中心とした気管支拡張剤、去痰剤などで症状の緩和を図ります。また、インフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種で感染予防も行います。中等度以上の患者さんには呼吸リハビリテーション、重症患者さんには在宅酸素療法を導入しております。
  4. 間質性肺炎
    • 肺の実質である肺胞を支える結合組織や血管、リンパ管などを含む間質に炎症を起こす特殊な肺炎です。自身の免疫機能の異常で全身の臓器障害を起こす膠原病、血管そのものが炎症の中心である血管炎などに併発することやリウマチや悪性腫瘍治療薬などによる薬剤性、原因不明の特発性があります。治療はステロイド薬が中心です。膠原病、血管炎の場合には免疫抑制剤も併用します。また特発性の場合には抗線維化薬(ピルフェニドン)も積極的に使用します。さらに特発性には2015年に新薬としてニンテダニブが承認になりました。初めての分子標的薬で、肺線維症の発症機序の関与が示唆される増殖因子受容体、特に血小板由来増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子受容体および血管内非小細胞増殖因子受容体を標的とした薬です。重症患者さんには在宅酸素療法も導入しています。
  5. その他
    • 悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍、び漫性汎細気管支炎、肺リンパ脈管筋腫症、肺サルコイドーシスなどの希少疾患や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療も行っております。SASの検査では病院に一泊していただき、夜間の呼吸状態、酸素飽和度のスクリーニングの簡易検査をもとに診断し、確定した患者さんには持続陽圧呼吸療法を導入します。禁煙外来も現在は呼吸器内科で担当しております。喫煙が影響する悪性腫瘍、心筋梗塞などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患、胃潰瘍などの消化器疾患を発症した方など種々の疾病をもった方が受診しています。禁煙を行いたいものの我流では達成できない方に、タバコの害の説明から始まるカウンセリング、スムースな禁煙をもたらす禁煙薬の処方などで3か月間かけて禁煙を達成できるようにしております。
スタッフの紹介

医師名 認定資格等
部長
 尾下 文浩
日本内科学会、総合内科専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会、がん薬物療法専門医
日本癌治療認定医機構、がん治療認定医
医学博士
日本肺癌学会、篠井・河合賞受賞
難病医療費助成指定医
厚生労働省認定緩和ケア研修会修了
厚生労働省認定臨床研修指導医
The Best Doctors in JAPAN (2014-2015)
米国臨床腫瘍学会会員
Journal of Solid Tumors, Associate Editor
Pulmonary and Critical Care Medicine, Editor
Clinics in Oncology, Edior
Journal of Allergy and Therapy, Editor