診療科のご案内

泌尿器科

泌尿器科からのお知らせ

 “前立腺パス”については以下のページをご覧ください。

診療内容

 泌尿器科とはいったいどのような科なのでしょうか。

 泌尿器科の専門医は全体の医師数と比べてとても少数です。また特殊な領域の科であるため、一般にはどんな時に御自分がかかることになるのかあまり知られていないと思います。またある程度判っていても、泌尿器という語感や、症状からなかなか行きにくい科ではないかと思います。

 泌尿器科とは、文字通り尿に関係するからだの仕組みを診る科です。

 尿をつくる腎臓、その尿を下へ送るパイプである尿管、尿を一時貯めておく膀胱、そして尿を体の外に出すパイプである尿道。これらの一連の流れ道が病気になったとき働く科です。

 これらは女性も男性も同じ仕組みですから、泌尿器科にかかる患者さんの3分の1は女性だそうです。多くの女性が経験する膀胱炎などもこれに当たります。しかしそのほかに、男性の生殖器も担当します。精子を作る精巣(睾丸)。精液を作り精子と混ぜて送り出す前立腺。そして陰茎です。
 そのほかに副腎というホルモンを出す臓器(腎臓の上についてます)への外科的な治療(手術)も含まれています。

 以上のような臓器に起きる病気とは主に、ばい菌が付くことによる感染症(炎症)。お小水の成分が固まって出来る結石。そしてもう一つが癌になります。そのほかには先天性の病気。神経の障害などによる機能の異常。そして加齢にともなう変化による症状などです。(ただし泌尿器科では、腎臓、副腎については感染症治療と癌、結石などの手術が中心になり、その臓器の働きに関する治療は専門の内科が担当します)

 ではそれぞれの臓器で、病気にはどのようなものがあるのでしょうか。

さまざまな泌尿器科の病気

感染症(主にばい菌が付いて炎症を起こす)

  • 腎盂腎炎:発熱と背中の痛み
  • 膀胱炎:排尿時の痛み、不快感、残尿感
  • 前立腺炎:膀胱炎の症状と発熱、排尿困難
  • 尿道炎:男性で膀胱炎と同じ症状
  • 精巣上体炎:陰嚢が硬く腫れ、痛い、発熱

 いずれもばい菌を殺す抗生物質を用いて治療します。入院を要することもあり、重症になることもありますので早めの発見治療を要します。

結石(尿の成分が沈殿、固まって石になる)

  • 腎結石:症状が無いことが多い(レントゲン検査などで偶然みつかる)
  • 尿管結石:片側の背中、お腹に耐え難い激痛が走る。尿に血が混ざる。腎盂腎炎になることもある。
  • 膀胱結石:あまり動けない人に多い。石が尿の出口に詰まるとお小水が出せなくなる。

 小さなものは点滴で出てしまうこともあり、大きいと砕く必要がある場合もあります。

  • 副腎癌、腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、尿道癌、陰茎癌、精巣癌など

 健康診断の検尿、PSA(前立腺癌を見つけるための血液検査)でみつかることもありますが、ほとんどが無症状のため本人は気がつかないことが多い。手術や化学療法を行います。

神経などの障害、加齢に伴う変化

  • 前立腺肥大症
     膀胱の下(尿の出口)にある前立腺が大きくなり、尿の通り道を圧迫します。尿の出が悪くなったり、回数が増えたりします。
     男性の病気で、主に初老以降の方がかかります。
  • 神経因性膀胱
     膀胱など排尿に関わる神経が壊れて発症します。糖尿病、脳神経疾患、外傷、前立腺肥大症の影響などで発症します。尿が出なくなったり、反対に漏れたり、近くなったり、様々な症状が発生します。
  • 尿失禁
     女性では若い方にも多い症状です。いろいろな原因があります。最近は良い薬が沢山出ています。予防のトレーニングもご指導します。横浜になりますが、良い病院(優しい女性の先生がいる)も紹介します。
  • ED
     勃起障害です。

 他にも様々な病気があります。薬や手術で治療します。歳のためとあきらめてしまう人が多い病気ですが、治療で楽に暮らせるようになる場合も多いです。

先天的な病気

 生まれた時からある病気です。子どものうちに治療を要するものもあります。

  • 腎盂尿管移行部狭窄停留精巣(陰嚢に玉がふれない)、尿道下裂包茎(おちんちんの皮がむけない)など多くの疾患があります。
    健康診断で指摘されたり、見た目に外の人と違って気が付くことがあります。治療を要するものと、必要の無いものがあります。
  • これ等の他、副腎の病気に伴うホルモンの異常男性不妊症外傷など沢山の病気があります。

 よくお話を伺って検査、診断、治療していきます。当科で治療が出来ないものは各種専門病院や大学病院などへご紹介いたします。

泌尿器科へのご相談

 一般に泌尿器科に掛かるきっかけは、排尿時に出る症状です。頻繁にトイレに行きたくなる(頻尿)、尿をする時痛い、尿に血が混じるなどの際は、まずはじめはお近くの内科などの先生にご相談なさる方が多く、その後当科へご紹介いただいております。いずれも放っておくと慢性化したり、癌の初期症状である場合もあります。我慢せず、早めにご相談になってください。また、癌など症状の無い病気も多くあります。心配だなと思ったら、お気軽に泌尿器科へもご相談ください。皆さん同じような病気や悩みを抱えておられますので、安心してください。

 特にお小水の漏れなどは女性の非常に多くの方が経験しています。若い健康な方でも、体の構造上発生しやすいのです。
 お薬やトレーニングでよくなることも多く、どうかお一人で悩まずご相談ください。また歳のせいだとあきらめられてしまうことの多いのが泌尿器科の病気の特徴でもあります。
 治療で楽に暮らせるようになることも多いので、こちらも是非一度ご相談ください。

スタッフの紹介
医師名 認定資格等
医長
 小泉 充之
日本泌尿器科学会専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
泌尿器ロボット支援手術指導医
厚生労働省認定緩和ケア研修会修了
 林 悠大朗 日本泌尿器科学会専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
泌尿器ロボット支援手術認定医
厚生労働省認定緩和ケア研修会修了
 塚田 英樹  
排尿ケアチームのご案内

排尿ケアチーム設置目的

 排尿ケアチームの目的は、排尿自立にむけた質の高いチーム医療を患者さんに提供することです。排尿ケアに関する専門的知識を有する多職種(医師、看護師、理学療法士)からなるチームで排尿自立の可能性及び下部尿路機能を評価し、排尿誘導などの保存療法、リハビリテーション、薬物療法等を組み合わせて包括的なケアに取り組んでいます。

当院の排尿ケアチームについて

 おしっこが出づらい、漏れる、何度もトイレに行かなければならない排尿行動が自立していない患者さんに排尿自立できるように、また、尿路感染症が減少するように当院では、泌尿器科医師・看護師・理学療法士より構成された排尿ケアチームにより排尿トラブルへの支援を行っています。
 排尿トラブルへの支援とは、チーム構成員が、患者さんの排尿動作や膀胱などの状態を評価して、ケアの有効性を検討します。簡便に膀胱内の尿量が測定できる膀胱内尿量測定機器を用いて、患者さんの膀胱内に尿が溜まっているのか、排尿後に尿が残っていないかを見ることができます。ケアを行っても改善が認められない場合は、さらに泌尿器科で画像検査など治療を再検討します。排尿ケアチームの活動を通して、スタッフのレベルアップを図り、院内全体で質の高いケアが提供できるよう努めていきます。

【排尿ケアチームの構成員】
 以下の構成員で、連携しながら活動しています。

  • 泌尿器科医師
  • 皮膚・排泄ケア認定看護師
  • 病棟看護師
  • 理学療法士

排尿ケアチームの活動

  1. 排尿ケアチームラウンド(1回/週)
    • 病棟看護師とのカンファレンス後に、病室訪問し患者さんの訴えや全身状態を確認する事を心がけています。また、在宅復帰に向けて、課題の明確化、在宅サービスの検討を行いながらケア計画を立案します。
  2. 病棟における包括的排尿ケアの推進
    • 下部尿路機能障害の評価
    • 排尿ケア計画の立案・実践・評価
    • 排尿自立指導に関する診療計画書の作成
  3. 排尿ケア質向上をめざした学習会の実施
  4. 排尿ケアに関するデーター収集と評価
    • 尿道カテーテルデバイス数、感染率
    • カテーテル抜去率
前立腺肥大症に対する新たな低侵襲手術 神奈川県・県西地域初(2市8町)

経尿道的前立腺吊上術(ウロリフト)

 当院では、神奈川県・県西地域初(2市8町)となる「経尿道的前立腺吊り上げ術(ウロリフト)」を導入しました。
 前立腺肥大症に伴う排尿障害に適応される「経尿道的前立腺吊上術(以下ウロリフト)」を2022年10月から開始しました。2022年4月1日から医療保険が適用となった、排尿障害に対する新しい低侵襲治療です。
 本治療は、2013年にFDA:米国食品医薬品局で認可され、欧米では30万人以上の患者さんが治療を受け、安全性と効果が実証されています。米国泌尿器科学会、欧州泌尿器科学会のガイドラインでは前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺吊上術が推奨されています。
 この手術は肥大した前立腺組織を持ち上げて固定し、インプラントを永久的に留置して尿道を拡張する方法です。前立腺組織を切除することなく低侵襲で行うことが可能です。

治療の流れ

 前立腺の中にインプラントを埋め込み、尿の通りを開通させ、排尿できるようにします。

治療の流れ1 閉塞した尿道にデリバリーシステムを挿入し、肥大した前立腺にアプローチします。
治療の流れ2 デリバリーシステムから出る小さな針を通して、小型のインプラントが前立腺の中に永久的に留置されます。肥大した前立腺組織を持ち上げて固定することで、尿道を拡張します。
治療の流れ3 閉塞した尿道がシステムによって開かれ、症状が改善されます。

治療の機器

 デリバリーシステムにはインプラント1個が装填されており、ひとりの患者さんに対して約4個のインプラントを留置します※1。
 システムによる治療は、閉塞した尿道を再拡大することにより、迅速で信頼性の高い症状の緩和を提供します。

 ※1 Roehrborn, J Urology 2013 LIFT Study

治療の機器

治療をお受けになる患者さんへ

 ウロリフトは心臓疾患、肺疾患、血液をさらさらにする薬(抗凝固薬・抗血小板)を内服している患者さん、高齢で体力が低下している患者さん、術後合併症を発症するリスクが高い患者さんにも行うことができます。今まで手術を諦めていた患者さんにとっても、治療の選択肢を広げる新たな方法です。
 気になる症状がある患者さんは、まず「かかりつけ医(診療所・クリニック)」に受診いただき、紹介状をお持ちになり泌尿器科に受診していただくことになります。
 また、当院での手術などが終了し病状が安定した場合は、紹介いただいた「かかりつけ医」に紹介させていただきます。

 治療をお受けするに当たり、医療機関から、FAXによる予約をお受けしております。
 手順は次のとおりです。

 当院は、地域医療支援病院として、かかりつけ医と連携し、患者さんの抱える病気や症状によってそれぞれの専門分野や特色を活かした医療を提供します。

地域医療支援病院

治療について

 特殊な医療機器を用いて前立腺を約4カ所止め、尿道を拡げる手術です。
 所要時間は1時間程度 ※2 を予定しています。
 排尿がご自身でできることが確認できましたら、退院になります。
 入院期間は 3泊4日程度 ※2 の予定です。

 ※2. 患者さんによって異なる場合があります。

治療費

 2022年4月1日から医療保険が適用となりました。 また高額療養費制度が利用可能です。

 

 画像・素材提供:テレフレックスメディカルジャパン株式会社 ©2022Teleflex Incorporated. 無断複写・転載を禁じます。

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