こども医療センター初期研修プログラム(自由選択科目)
対象
選択科目に、神奈川県立こども医療センターを選択した研修医
研修期間は、小児科(総合診療・小児救急)、新生児科で1ヶ月以上
研修目標
小児期の日常診療で頻繁に遭遇する疾患や症状に適切に対応でき、重症あるいは危急例の初期対応を適切に行える基本的な診療能力を身につけ、必要例では小児科専門医あるいは小児専門医療機関との円滑な連携がとれることを目標に小児医療を研修する。
- 頻度の高い小児疾患に適切に対応できる。
- 重症疾患や救急患者の初期対応を習得する。
- 基礎疾患を有する児のcommon diseaseの治療ができる。
- 他の小児専門医との連携がとれ,包括医療を実践できる。
- 予防接種や感染予防の対応ができる。
行動目標
- 小児の発達段階(遠城寺・デンバー式)を評価し、発達障害の有無を評価できる。
- 代表的な先天異常、染色体異常についてその概要を述べることができる。
- 指導医のもとに外来担当医として小児急性疾患の診断・治療を計画できる。
- 小児の急性ウイルス感染症に対する診断・治療の概要を説明できる。
- 発熱を伴う急性発疹性疾患の鑑別診断を述べることができる。
- 急性細菌感染症に対する治療の概要(抗生物質の適応・選択など)を説明できる。
- 小児の代表的慢性疾患について理解し、病態を説明することができる。
- 小児救急(pediatric advanced life support)の概念を習得し、心肺蘇生法の手順を説明できる。
- 指導医のもと乳児の導尿ができる。
- 小児の意識障害の基礎疾患を理解し、検査の手順について述べることができる。
- けいれん性疾患に対する予防治療の適応を理解し、説明することができる。
- 小児の呼吸困難の原因を理解し、鑑別疾患を述べることができる。
- 小児喘息の予防治療の概要を理解し、説明することができる。
- 酸素療法の適応について理解し、マスクによる人工呼吸ができる。
- 気管内挿管の適応、小児・成人の違いについて理解できる。
- 指導医のもとに小児の集中治療の特殊性を理解し、チーム医療の一員として診療できる。
- 重症小児患者の家族・保護者に対する精神的な支援ができる。
- 障害児医療を体験し、家庭医・一般医の役割について述べることができる。
- 障害児の社会福祉制度を理解し、説明することができる。
- 新生児・乳児の超音波検査によって腹部、心臓、頭部などの正常像を理解できる。
- 指導医のもとに分娩に立会いアプガースコアを正確に評価できる。
- 指導医のもとに仮死児の蘇生を行うことができる。
- 新生児の黄疸、哺乳障害、嘔吐、低血糖に対処することできる。
- 指導医のもとに新生児の静脈確保、カテーテル類の挿入、採血ができる。
- 先天性代謝異常スクリーニングの意義を理解し、説明することができる。
- 新生児けいれんを診断し、初期治療ができる。
- 新生児・乳児において聴診によって心雑音の有無を判定できる。
- 代表的な先天性心疾患の循環生理を理解し、説明することができる。
- 新生児期に手術が必要な消化管奇形を理解し、診断・治療法の概要について説明できる。
- 外表奇形を視診し、カルテに正確に記述することができる。
研修方法
- 小児科(総合診療・小児救急)と新生児診療を各1ヶ月,計2ヶ月間を指導医のもと病棟ならびに外来において必修研修する。必修研修の終了後、以下に掲げる診療科を合計2ヶ月間、選択して研修する。
- 選択診療科の研修は2週間以上、1ヶ月以内として選択する。指導は各診療科の研修担当指導医が行う。
- 診療科などの研修内容の概要
- 新生児科:分娩立ち会い、仮死の蘇生、異常児の早期発見と対応、新生児搬送同乗など。
- 感染免疫科:感染症、リウマチ性疾患、免疫不全症候群、腎疾患、肝疾患、炎症性腸疾患。
- アレルギー科:近年、急激に増加している各種小児アレルギー疾患全般の診断、検査法、治療。
- 脳神経内科:難治性てんかん。重症心身障害児施設研修。社会福祉医療の実際。
- 内分泌代謝科:糖尿病、先天代謝異常、低身長、肥満、神経性食欲不振症など。
- 血液科:悪性疾患のインフォームドコンセント、治療プロトコール、小児の緩和ケア。
- 腫瘍科:悪性固形腫瘍の化学療法、造血幹細胞移植。Tumor Boardでの方針決定。
- 遺伝科:遺伝医療の基本、遺伝の原則、カウンセリング、解析手技。
- 循環器内科:先天性心疾患の診断、循環作動薬の小児科領域の使用法。
- 救急診療科:重症救急患者の初期対応と集中治療の実際。
- 集中治療科:重症呼吸障害,脳低温療法,血液浄化療法,先天性心疾患の術後管理など。
- 放射線科:全身の画像診断。脳外科、脳神経内科、内分泌科と定時カンファレンス。
- 外科:新生児外科、腫瘍外科、腹部一般外科、移植外科、呼吸器外科の術前術後管理。
- 心臓血管外科:先天性心疾患の手術ならびに術後管理。
- 脳神経外科:脳脊髄腫瘍、頭蓋縫合早期癒合症、二分脊椎の診断と治療。
- 整形外科:足部・股関節疾患、四肢の短縮・変形、脊柱変形、骨肉腫。肢体不自由児施設研修。
- リハビリテーション科:小児のリハビリ。診断、治療戦略、補装具類。理学療法、作業療法。
- 形成外科:唇顎口蓋裂を中心とした外表奇形の診療、手術。
- 皮膚科:アトピー性皮膚炎、皮膚感染症、母斑・血管腫、遺伝性疾患の診断と治療。
- 泌尿器科:停留精巣、陰嚢水腫、水腎症の他半陰陽、夜尿症、二分脊椎の診断と治療。
- 眼科:小児疾患の眼合併症。
- 耳鼻咽喉科:中耳炎、鼻炎、副鼻腔炎、上気道疾患、習慣性扁桃炎、嗄声、誤嚥、異物。
- 歯科:小児期における歯科的診断と口腔衛生管理。障害児の歯科。
- 精神科:思春期の精神障害。リエゾン精神病。摂食障害。外来診察と病棟研修。
- 産婦人科:ハイリスク妊婦を中心に産科診療。胎児、新生児の異常。妊娠前外来。
- 母性内科:妊娠可能な女性、妊産婦、産褥期・育児期の内科的合併症の管理。禁煙指導。
- 麻酔科:小児における麻酔薬他の薬理学的作用、手術との関係、術後鎮痛など。
- 母子保健室:ソーシャルワーカー、保健師の仕事を知る。各集団指導に参加。
- 当直(週1回)および日直(月1回)を指導医とともに行う。
毎朝NPC(new patient conference)に毎朝参加し(7:30~)、新患のプレゼンも行う。 - 総回診(毎週水曜日)、小児科CC(毎週水曜日)、医師の会研究会(毎週水曜日)に参加する。必修・選択期間中は各診療部門の週間定例カンファレンスに参加する。
- 教材は下記を用いる。
- Nelson Textbook of Pediatrics(W.B.Saunders)
- Current Pediatric Diagnosis and Treatment ( McGraw-Hill )
- 今日の小児治療指針(医学書院)
- 新生児診療マニュアル(東京医学社)
- 小児科当直医マニュアル(診断と治療社)
週間スケジュール
1. 小児科(総合診療・小児救急)スケジュール
8:00~8:30 | 9:00~12:00 | 13:00~17:00 | |
---|---|---|---|
月 | 回診 | 救急外来、HCU診療 | 救急外来、HCU診療 |
火 | 回診 | 救急外来、HCU診療 | 救急外来、HCU診療 |
水 | 回診 | 救急外来、HCU診療 | 小児科CC医師の会 |
木 | 回診 | 救急外来、HCU診療 | 救急外来、HCU診療 |
金 | 回診 | 救急外来、HCU診療 | 救急外来、HCU診療 |
2. 新生児科週間スケジュール
8:05~ | 9:00~11:30 | 11:30~12:30 | 13:30~14:30 | 15:00~15:30 | 16:00~17:00 | 17:00 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 当直報告 病棟回診 |
病棟診療 | 病棟診療 | 周産期カンファレンス | 母子保健室カンファレンス 病棟カンファレンス |
当直引継 | |
火 | 当直報告 病棟回診 |
病棟診療 | 病棟診療 | 当直引継 | |||
水 | 当直報告 病棟回診 |
病棟診療 | 病棟診療 | 内科総回診 内科CC 医師の会研究会 |
XPカンファレンス | 当直引継 | |
木 | 当直報告 病棟回診 |
病棟診療 | 遺伝科回診 | 病棟診療 | 胎児カンファレンス(15:30~) | 当直引継 | |
金 | 当直報告 病棟回診 |
病棟診療 | 病棟診療 | 当直引継 |
毎月第4金曜日:継続カンファレンスに参加する。
3. 選択期間スケジュール:選択期間は各診療科の週間スケジュールに沿って研修する。
指導医リスト
指導医名 | 役職名 | 分担 |
---|---|---|
猪谷 泰史 | 副院長 | 統括 新生児科 科長 |
栗原 和幸 | 小児科部長 | 副統括者 |
松井 潔 | 総合診療科部長 | 研修実施者 |
安達 昌功 | 内分泌代謝科部長 | 指導医 |
石川 浩史 | 産科部長 | 指導医 |
田中 祐吉 | 病理科部長 | 指導医 |
新井 卓 | 精神科部長 | 指導医 |
小坂 仁 | 心臓血管外科医長 | 指導医 |
高増 哲也 | アレルギー科医長 | 指導医 |
藤本 潤一 | 集中治療科医長 | 指導医 |
室谷 浩二 | 遺伝科医長 | 指導医 |
萩原 聡子 | 母性内科胃腸 | 指導医 |
外小児科指導医5名 |
こども医療センター概要
- 病床数 病院部門329床+肢体不自由児施設50床+重症心身障害児施設40床(合計419床)
- 医師の員数 常勤:137名 、非常勤(常勤換算):4名 計141名
- 日本国内唯一の小児総合医療施設(養護学校併設)