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当院の教育体制は、患者とのかかわりを通した日々の看護実践こそが、新たなケアを創造し、一人ひとりの能力を伸ばしていくための土台になるという考え方を基盤としています。個人の中にある経験的知識を言語化し他者と共有する機会を作り、自己と他者の経験から自律的に学ぶことを目的として「足柄式教育体制」を構築し、院内研修や分散教育にも取り入れています。
足柄式教育体制とは、「ペアで、相互の知識・技術・経験・看護観を共有し、力を合わせて、患者目標や自己教育目標の達成にむけて共育・共創するシステム」(図1・表1)です。
要素 | 内容 |
---|---|
違いを知る | 考え方、価値観、看護観、経験、力量など、互いの違いを知る |
相手を認める | 一人の人間として相手を認め尊重する、相手に耳を傾ける、倫理的な態度 |
信頼関係 | 互いに相手を信頼し、信頼関係を構築する |
合意と共有 | ペア、グループ、チーム内で確実に情報共有する 患者目標・自己教育目標を共有する 具体的に合意するために、建設的に協議する |
ロールモデル | 他者をロールモデルとして、姿勢、技術、判断を学ぶ |
思考プロセス の言語化 |
どの情報をもとに、どのような比較検討・分析を経て、判断し、行動に至ったのか、自分の言葉で相手に理解できるように、判断から行為に至る思考プロセスを伝える 言語化を通して自己の行動を意識化し、振り返りから気づきを得て、成長につなげる |
表1 足柄式教育体制の要素
臨床経験の少ない看護師は、より経験のある看護師をロールモデルとして、判断や技術を観察し、まねるという行為から学び、臨床経験豊かな看護師同士も多様な価値観を認め、互いの特性を活かし看護を共創します。日常の看護実践における判断から行為に至るプロセスを言語化し共有する機会が自己の行為を意識化し、気づきから内発的に看護実践力が育まれることをねらいとしています。
足柄式教育体制は、看護を共創する中で共に育まれ、すべての看護師に教育的効果をもたらすことを意図しています。このことが、足柄上病院がめざす「対象を全人的にとらえ、生活者として支援する看護」を実現し、個人やチームのみならず組織としての成長につながると考えています。