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救急看護認定看護師 日本DMAT隊員
生田 正美
このたび発生しました、熊本地震におきまして、被災された方々には、心からお見舞い申し上げます。
4月25日~28日の4日間、足柄上病院は神奈川県が派遣する医療救護班の一員として災害地へ向かいました。
熊本市内での活動でしたが、熊本市役所、中央区役所の一階部分はたくさんの避難者が床に段ボールや毛布を敷き生活を送っていました。役所の正面玄関では炊き出しが行われ、食事の時間には老いも若きも長蛇の列に並ばなければ食事を口にすることができず、給水車で生活水を補っている状態でした。入浴はできず、自家用車などの交通手段を持っている方は銭湯などに行ける方もいましたが、独居のご老人などは風呂に入ることもできない状況でした。活動のため毎日目にした熊本城は外壁が崩れ落ちていました。
私達の主な活動は、①避難所での環境調査・避難者の健康状態の把握と診療、②エコノミークラス症候群の検査・診療でした。
避難所は刻々と状況が変化しますので、ライフラインの状況、環境の衛生状態、具合の悪い方が何人いるのか、などを調査しました。看護師は被災者の方々に声を掛けながら巡回しました。顔色や表情に注意しながら話を聴き、血圧を測定して健康状態の観察を行っていきました。
ある避難所でおじいさんが、「自宅が全壊し元気をなくして衰弱している。ご飯を食べず、栄養ゼリーばかりで心配しているので見てほしい」と連絡があり訪問しました。なんで食事が摂れないのか、よくよく話を聴いていくと、震災前から入れ歯の調子が悪く米粒が食べられないことがわかりました。偶然この避難所に歯科チームの巡回があり歯科チームへ繋ぐことができました。
エコノミークラス症候群とは、主に足にできた血の塊が肺の血管に詰まり、肺梗塞を起こす病態で、胸痛や呼吸困難を起こし重症例では死に至る怖い病気です。地震によって、狭い車内で寝泊まりすることで、発症の危険性は高まります。私達はこのエコノミークラス症候群を発見するために、超音波で足の静脈に血栓がないか検査を行いました。20人を診察し結果6人が陽性であり、うち1人は重症になりうる可能性が高く、救急搬送しました。
あるおばあさんは夫と避難中で、車中11泊後、避難所へ移動されていました。避難所でエコノミークラス症候群の検査を勧めましたが希望されませんでした。しかし巡回した私達看護師の話を聞き、検査を受けてみる気持ちになった様子で、1時間後、自ら窓口へいらっしゃいました。問診ではエコノミークラス症候群の危険性が高く、超音波では下肢静脈に血栓が発見されました。
現在、胸痛や呼吸困難はありませんでしたが、重症になる可能性が極めて高い状態と判断し救急車にて病院へ搬送となりました。
救急看護認定看護師 日本DMAT隊員
生田 正美
2015年9月茨城県常総市の豪雨災害では、東日本で記録的な豪雨となり、9月10日鬼怒川の堤防が決壊。広範囲にわたりの浸水被害が発生し、近隣住民の避難、病院や老人施設などの水没、行方不明者、傷病者が発生しました。足柄上DMAT隊も9月11日~12日の2日間、水害現場へ出動し水没病院患者搬送支援、ヘリポートでのトリアージ、救護所活動などを行いました。
水没した病院での救援活動では、周辺道路が水没しているため、自衛隊がボートで患者を救出し、浅瀬に着くと患者を担いで陸地へあがりました。その後私達DMAT隊が引き継ぎ、近隣病院へ救急搬送していきました。この救助活動は夜を徹して行われました。
ヘリポートでのトリアージと救護所活動では、各県の防災ヘリ、自衛隊機、ドクターヘリなどで、水没地域より、次々に被災者が搬送されました。自宅に3日間とりのこされやっと救出された方、ペットと伴に救助された方、老人施設で寝たきりの方、など様々な方々の搬送がありました。ヘリコプターで降りたその瞬間から救助された方に声をかけ、トリアージを行い、医療支援が必要な方を振り分け救護所での観察、次の医療施設への搬送準備を行いました。
今回の災害支援は足柄上病院DMAT隊が誕生し初めての出動でした。今後はこの活動経験を活かし、災害静穏期からの備え、訓練、実災害での活動に活かしていきたいと考えています。
2024年1月1日、石川県能登地方を震源とする最大震度7を観測する地震が発生。
1月11日~18日、DMATとして活動しました。