研修医

足柄上病院 総合診療科臨床研修プログラム(必修・自由選択科目)

対象

 卒後初期臨床研修・ローテート方式

 研修期間は、総合診療科・循環器内科・神経内科で6ヶ月以上

研修目標

 将来どの科を専攻するとしても、その基礎となる内科診療に関する基本的な知識・技能を身に付け、疾患の病態を理解し、患者に対しても適切な指導・管理を行うことが出来るようになることは医師として重要な意味をもつ。
 本病院は、地域医療を主体として種々に内科疾患に接することが可能であり、その意味でも有意義な研修が期待できる。

行動目標

 <基本的診察法、手技、治療法>に加え、以下について習得する。

総合診療

 実践的問診技法、受療行動分析、発展的身体診療、EBMについて学び、実践する。

消化器

 消化器疾患の診断のために、適切な検査を指示することができ、また治療を行うことができる。また救急に対処し、状態を安定化させながら手術あるいは高度な検査の適応を決定できる能力を身に付ける。

  1. 下記の如き、検査法の方法を理解し、主要な所見を指摘できる
    1. 上部、下部消化管造影および内視鏡検査
    2. ブドウ糖負荷試験、P-S試験
    3. 消化吸収試験
    4. 肝機能検査
    5. 肝炎ウィルスマーカー
    6. CEA、AFP、CA19-9、エラスターゼ1
    7. 超音波診断法
    8. 間接的胆道造影法、経皮経肝的胆道造影、内視鏡的逆行性胆管膵管造影の方法、適応、禁忌
    9. 肝生検の適応、禁忌
    10. 胃液検査
    11. X線CT検査
    12. 腹部血管撮影
    13. MRI検査
  2. 以下の治療が出来る。
    1. 消化管疾患の食事療法、薬物療法
    2. 消化器疾患の救急処置(消化管疾患の内科的止血、ショック、肝性昏睡など)
    3. 消化器疾患の手術適応の決定
  3. 以下の治療の方法、適応及び合併症について述べることができる。
    1. 内視鏡的ポリープ切除術
    2. 食道癌の放射線療法、進行消化器癌の化学療法
    3. 肝炎に対するインターフェロン療法
    4. 血漿交換の方法、適応
    5. 肝動脈塞栓術の方法、適応および副作用
    6. 経口胆石溶解療法
    7. 経皮経肝ドレナージ法
    8. 内視鏡的乳頭括約筋切開術・拡張術
    9. 食道静脈瘤の硬化療法
    10. 中心静脈栄養の理論と実施法

呼吸器

 呼吸器の感染性ならびに非感染性疾患の診断と治療ができる。また、呼吸不全を他の病態から鑑別し、救急治療ができる能力を身につける。

  1. 以下の如き検査を確実に実施し、主要な所見を指摘できる。
    1. 胸部単純及び断層撮影
    2. 喀痰採取法 グラム染色と抗酸菌染色標本の観察、起炎菌の推定および細胞診
    3. 胸腔穿刺、検体の取り扱い
    4. 肺機能検査
    5. 動脈血ガス分析
    6. 気管支内視鏡検査の適応の決定
    7. X線CT検査
  2. 呼吸器疾患の治療が正しく行える。
    1. 鎮咳、去痰薬の適切な使用
    2. 抗生物質
    3. 吸入療法
    4. 酸素療法:方法、適応、副作用
    5. 気管支拡張薬
    6. ステロイド薬
    7. レスピレーターの適応、操作
    8. 脱気療法の適応
    9. 体位ドレナージの指導

感染症

 感染部位と起炎菌(ウィルスを含む)を同定し、患者の状態に基づいて適切な治療ができるようになるための知識と技能を身につける。

  1. 感染部位別に起炎菌の頻度を述べることができる。
  2. 一般細菌、真菌、寄生虫、ウィルス検査のために、以下の材料を正しく採取し輸送、保存できる。
    膿、採取液、喀痰、尿、糞便、血液(採取時期、回数など)
  3. 塗抹標本のグラム染色、抗酸性染色、起炎菌の推定
  4. 血清学的診断の方法と評価
    ウィルス、一般細菌、リケッチア、スピロヘータ、真菌、マイコプラズマ、寄生虫
  5. 薬剤感受性検査の意義の把握
  6. 抗生物質の薬理の理解と適切な治療
    ペニシリン、セフェム系、アミノグリコシドなど
  7. 駆虫療法
  8. AIDSなどのウィルス疾患の治療法
  9. 院内感染、日和見感染、菌交代現象、Immunocompromised hostの概念の理解

中毒並びに物理的原因による疾患

 中毒並びに物理的要因による疾患において、すみやかな原因の除去と救急対処法を実施できる知識と技能を身につける。

  1. 胃洗浄の適応と実施
  2. 有機リン、カーバメート剤中毒に対する硫酸アトロピン、パムの適切な投与
  3. 血漿交換療法、人工透析の適応ならびに方法

アレルギーおよび自己免疫疾患

 各種アレルギー疾患の救急に対処し、長期健康管理計画がつくれる知n識と技能を身につける。

  1. アレルギ-反応の分類
  2. 下の検査の方法を理解し、結果の評価ができる。
    1. 皮膚反応
    2. 眼反応
    3. 粘膜反応
    4. IgE、IgE抗体測定
    5. ツベルクリン反応、DNCB皮膚反応
    6. リュウマチ因子
    7. 抗核抗体、抗DNA抗体、抗RNP抗体、LE細胞現象
    8. 免疫複合体
    9. クームス試験
    10. 抗甲状腺抗体、その他の抗臓器抗体など
    11. 免疫電気泳動
    12. 補体
    13. リンパ球芽球化試験
  3. 治療
    1. アナフィラキシーショック、蕁麻疹、気管支喘息に対する薬物療法
    2. ステロイド、免疫抑制薬、免疫調整薬、非ステロイド抗炎症薬
    3. 減感作療法の方法と効果
  4. 自己免疫疾患患者の生活指導

腎・尿路

 詳細な病歴、正確な現症の把握、血圧、浮腫、尿所見、腎機能検査結果から糸球体腎炎、腎不全の診断と治療方針が決定できる。尿路感染症の診断と治療ができる。

  1. 機能の各要素の理解
    酸・塩基調節、水電解質代謝、腎の内分泌能など
  2. 機能検査
    1. 尿・血液生化学的検査(GFR、RPF、尿細管機能)
    2. クリアランス(GFR、RPF、尿細管機能)
    3. 濃縮・希釈試験
    4. 腎盂造影
    5. レノグラフィー
  3. 腎血管造影、腎生検の適応
  4. 超音波検査、X線CT検査
  5. 急性腎不全の診断と治療
  6. 腎疾患患者の治療、管理
    1. 利尿薬、降圧薬、ステロイド、免疫抑制薬、抗炎症薬、抗凝血薬など
    2. 食事療法
    3. 輸液療法
    4. 透析療法 (腹膜、血液),血漿交換療法,腎移植の適応,合併症とその処置

血液

 鉄欠乏貧血を他の貧血より鑑別し、治療できる。骨髄増殖性疾患については、専門医に紹介することができるようにする。

  1. 以下の如き検査法を確実に実施でき、主要な所見を指摘できる。
    1. 末梢血塗抹標本の作製と鏡検
    2. 骨髄穿刺、骨髄像
  2. 以下の検査法の方法を理解し、主要所見を指摘できる。
    1. 赤沈
    2. 血球の細胞化学
      ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、エステラーゼ、PAS反応
    3. 赤血球抵抗試験
    4. 交叉試験
      食塩法、アルブミン法、ブロメリン法、クームステスト
    5. 造血と血球崩壊に関連する物質
      血清鉄、鉄結合能、血清フェリチン、ビタミンB12、葉酸、エリスロポエチン、ハプトグロビン、ビリルビン代謝など
    6. 血漿蛋白定量および質的検査(電気泳動法、免疫電気泳動法)
    7. 免疫血液学の諸検査
    8. 白血病の大まかな鑑別
    9. 凝固検査(プロトロンビン時間、活性化部分トンボプラスチン時間、トロンビン時間)
    10. フィブリノーゲン、FDP
  3. 治療
    1. 鉄欠乏性貧血の原因の追求と治療(経口、注射)
    2. 白血病、悪性リンパ腫の化学療法
    3. 再生不良性貧血の治療
    4. 輸血(全血、成分輸血、血液製剤、凝固因子濃縮製剤など)の適応、方法、副作用

内分泌、代謝

 主要な疾患(甲状腺疾患、糖尿病、肥満)の診断、治療、生活指導ができるようになるための能力を身につける、高血糖ならびに低血糖性昏睡の診断と救急治療ができるようにする。

  1. 以下の検査法を正確に理解し、検査前の準備、検体の採取法を含めて完全に実施でき、結果を解釈できる。
    1. 甲状腺機能検査
    2. 糖負荷試験(IRI、尿中CPR、HbA1cを含む)
  2. 以下の機能検査の主要なものの適応を決定し、指示することが出来る。
    間脳下垂体前葉機能、下垂体後葉、副腎皮質ならびに髄質機能など。
  3. 内分泌腺形態検査法を適切に指示し、主要な変化を指摘できる。
  4. 治療
    1. 補充療法(甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン)
    2. 甲状腺機能抑制法(抗甲状腺剤)
    3. 高カルシウム血症に対する治療
    4. 糖尿病の食事療法の適切な指導
    5. 糖尿病の薬物療法
    6. 高脂血症の治療
    7. 痛風の食事および薬物療法

神経

 脳血管障害、痙攣の診断と救急治療ができ、症状安定化後、リハビリテーション計画をたてることができる能力を身につける。

  1. 以下の検査が確実にできる。
    1. ベッドサイドでの神経学的診察
    2. 髄液採取および判定
  2. 以下の検査の適応を決定し、主要な変化を指摘できる。
    1. 脳波
    2. 頭部CT、MRI
    3. 筋電図、神経伝導速度
    4. 頭蓋単純撮影
    5. 脳血管造影
    6. 神経、筋生検
    7. 薬理学的検査(テンシロンテストなど)
  3. 以下の救急処置ができる。
    1. 意識障害、痙攣などの処置
    2. 呼吸障害
    3. 脳外傷、硬膜下血腫の一次対応
  4. リハビリテーションの治療計画の決定
  5. 細菌性髄膜炎の診断と抗生物質療法
研修方法
  1. 指導医のもとに、入院患者、救急患者の診療を中心に研修を行う。研修場所は、主として内科病棟で、症例はできるだけ各分野にわたるように選ぶ。
  2. 消化器、神経系、呼吸器、腎臓、血液、代謝、内分泌、感染症、膠原病、アレルギーなどの疾患については、少なくとも1~2例以上を必修とし、計20例以上を研修するものとする。
  3. 受持ち患者および家族と指導医の面談時には、必ず立ち会う。
  4. 担当医患者の病歴の抄録を作成し、研修手帳には、症例の所定事項を記入し、研修終了時に検印をうける。
  5. 病棟および救急室等において、内科診療に必要な各種手技を指導医の立会いのもとに習得する。
  6. 受持ち患者を中心に各種検査に立会い、その手技および検査結果の判定法を学ぶ。
  7. 内科の症例検討会(週1~2回)、CPC、病院の症例検討会には必ず出席する。
  8. 指導医のもと研修当直を行う。

研修資料、参考書

  1. UpToDate
  2. Harrisonn's principles of internal medicine McGraw-Hill
  3. Bates' Physical examination and history taking Lippincott
  4. MD CONSULT
週間スケジュール

  午前 午後 その他
上部消化管内視鏡 気管支内視鏡
下部消化管内視鏡ERCP等
早朝レクチャー
腹部エコー 消化管造影 早朝レクチャー
上部消化管内視鏡 気管支内視鏡
下部消化管内視鏡・ERCP等
腹部血管撮影
内科外科合同カンファランス
内科症例検討会
腹部エコー 腹部血管撮影 早朝レクチャー
上部消化管内視鏡 消化管造影等 早朝レクチャー
    症例教育カンファレンス

総合診療科概要
  1. 病床数 60床
  2. 常勤医 5名
  3. 日本内科学会認定医教育関連病院
    日本プライマリ・ケア連合学会教育病院
    日本消化器病学会専門医制度認定施設
  4. 併設の緩和ケア病床(Best supportive care unit)を利用、診断から終末期までの集学的治療をめざす。