足柄上病院ジャーナル
平成22年5月1日号

足柄上病院の病院理念
「あ」:安全で安心な医療を提供します。
「し」:社会の要請を担う政策医療を展開します。
「か」:患者中心の医療を実践します。
「み」:魅力ある自立した病院を目指します。

初夏号(通刊 第35号)

−これからの足柄上病院に向けて−

病院長  山本裕司

 院長に就任し1年が経ちました。昨年は就任早々医師不足に悩まされ、また今年度から始まる県立病院の法人化に向けての準備、病院経営など今まで外科診療と医療安全に専念してきた自分にとって忙しくはありましたが、いろいろと学ぶことの多い1年でした。
 法人化に当たり地域の方々から、足柄上病院は今後医療サ−ビスの低下が起こるのではないかとの心配される声を聞きます。しかし今回法人化される県立病院は地方独立行政法人神奈川県立病院機構といい、県立病院に変わりはなく、その基本的理念に「県民が求めている良質で分かりやすい医療を県民の負担軽減に努めながら、安定的・継続的に提供する。」とあります。即ち、今まで我々が行ってきた政策医療や医療サ−ビスは引き続き今までと同様に継続していくことが記載されています。
 足柄上郡のある県西部地域の特徴は、高齢者が多く、3大成人病(がん、虚血性心疾患、脳血管疾患)の発生率が高く、死亡率が高いという統計が出ています。こうした特徴をふまえ、今後5年間における足柄上病院の中期計画には
1.「生活習慣病の予防」、がん医療をはじめとする「3大成人病に対する医療」および「生活機能障害」に対するケアなどの「高齢者総合医療」を充実する。
2.ICU設置に向けた取り組みを行うとともに、消防本部との連携の強化により、救急医療を充実する。
3.地域で安心して出産できるよう、産科医療を充実するとともに、助産師における院内助産の取り組みを勧める。
ことが盛り込まれています。まず本年度から始めることとして、生活成人病の予防に関しては禁煙外来の設置、3大成人病に対する対策としてCT装置の更新などがあります。
 新しいCT装置は検査時間が短縮するだけでなく、低侵襲(体への負担が極力少ない)で肺や腹部だけでなく心血管系の病気などより多くの情報が得られます。高齢者の方にとっては低侵襲で病気の早期発見に役立つものと思われます。また、「高齢者病棟」の充実には今後も努力していきたいと思います。昨年からの課題でありました医師不足は充実した救急医療を行うには不十分でしたが、常勤医が内科5名、泌尿器科1名、外科2名、さらに2年目の研修医2名が増員され、地域で完結できる断らない救急医療を目指して少しずつではありますが、前進しております。さらに、重症度の高い救急患者も受け入れられるようICU設置に向け努力しているところです。また、近隣の方々から要望の強い耳鼻咽喉科の設置の件ですが、東海大学耳鼻咽喉科教室の協力もありまして、耳鼻咽喉科の非常勤医師が月曜日、水曜日に診療に当たることになりました。
 もちろん足柄上病院の病院理念である「あ」、「し」、「か」、「み」の理念は変わりませんが、本年度は特に「み」の“魅力ある自立した病院を目指す”ために経営基盤を固め、患者、職員ともに満足度の高い病院にしたいと思っています。本年度は医師の数も増え、地域の中核病院として充実した医療を提供できるものと信じています。それには是非とも地域の方々の信頼と協力が必要だと思います。本年度も引き続き足柄上病院をよろしくお願いします。

地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立足柄上病院

事務局長 三浦康雄

 「地方独立行政法人神奈川県立病院機構 神奈川県立足柄上病院」、これが病院の新しい正式名称です。
 皆さんは、いわゆる「上(かみ)病院」の何が変わるのか、また変わらないのは何かという疑問をお持ちだと思いますので、概略をご説明します。
 まず、一番大きく変わったのは県の組織の一部ではなく、地方独立行政法人所管の病院になったことです。ですから、病院で働く職員は法人の職員ということで、公務員という身分はなくなりました。(ただし、当面は一部の事務職員は公務員のまま派遣されます。)
 一方、法人の設立者は「神奈川県」であり、法人化後も県立病院であることに変わりなく、県立足柄上病院という名称をそのまま引き継ぎました。ですから、設立形態からしますと、法人化すなわち民営化ということではありません。
 運営面から見ましても、診療行為などから得られる収入と神奈川県からの運営費負担金を基に病院運営を行う形態は、これまでと同じで、引き続き税金が投入されますので、県民の方々から厳しい目で見られているという認識のもとに病院運営を行っていく必要があると考えております。
 また、足柄上病院は、地域を支える総合病院として、重要な役割を担っていることに変わりはありませんので、病院の基本理念や診療内容、診療体制については、これまでと同様に引き続くとともに、さらに産科や救急医療を充実させたいと考えております。
 そうなると法人になった意味も無いと思われてしまうかも知れませんが、法人化されたことにより、これまで絶対的であった役所の人事や財務のルールだけではなく、柔軟な民間的発想を少しずつ取り入れられるようになります。例えば、「医師等の増員」や「効率的な医療機器等の購入」などの面で、より柔軟でスピーデイーな対応が可能になり、その結果、住民の皆さまに質の高い医療を提供していくことができると考えております。
 しかしながら、民間的発想を取り入れ、経営を優先し不採算部門を切り捨てるとか、サービスの低下などが生じるのではないかという懸念の声もお伺いしました。病院が行う具体的な医療サービスの提供内容などは、県議会の議決を経て知事が認可しますので、病院が勝手に診療科をなくすというようなことは出来ないしくみになっています。
 いずれにしましても、地域や住民の皆さまの医療ニーズに的確に応えるのが病院の使命であるという基本的な考え方は何も変わっておりません。
 今年、設立60周年という人間で言えば還暦の節目の年に、足柄上病院も新たなスタートを迎えました。地域に密着した病院であるという意識を職員全員が持っており、より良い病院とするために、住民の皆さまの叱咤激励を受けながら、頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
 なお、4月からスルガ銀行の派出所が廃止となり、ATMもご利用いただけなくなるなど、会計の方法が一部変わり、皆様方にはご不便をおかけする場合もありますが、ご理解とご協力をお願いします。

検査科の紹介  技師長 丹野秀樹

 検査科は臨床検査技師12名、非常勤臨床検査技師6名、非常勤技能員2名、非常勤病理医師4名で構成されています。
当検査科では、
 @ 患者様には思いやりのある対応を。
 A 検査結果を迅速かつ正確に提出する。
 B 他部門との密接な連携を強化する。
の、3つを基本方針としております。それでは、検査科の各部門をご紹介いたします。
「生体検査部門」
○ 生理機能検査室… 心臓、腹部、肺、脳、神経、筋肉、血管、耳などの生理的反応、機能をグラフ化、画像化する検査です。心電図検査、トレッドミル(運動負荷心電図)検査、超音波検査、脳波検査、筋電図検査、ABR(聴性脳幹反応)検査などを日本超音波学会認定超音波検査士を含む5名で行っております。
各検査の正確性の確保と、予約時間についての臨機応変な対応で患者様の待ち時間が少なくなるように考えながら検査を実施しております。
「検体検査部門」
  一般検査、血液検査、生化学・血清検査、輸血検査、の4セクションを8名の技師で、細菌検査、病理検査を学会認定細胞検査士2名を含む4名の技師で行っております。
○ 一般検査… 一般検査室は血液以外の臨床検査材料を扱い、尿(定性・定量)検査、髄液検査、便潜血検査、関節液検査、精液検査を行っています。尿や便の検査は、痛みを伴わない非侵襲的な検査でスクリーニングとして有用です。
○ 血液検査… 血液中の赤血球、白血球、ヘモグロビン値、血小板数を調べることにより、貧血や細菌感染、白血病などがわかります。また、凝固(出血を止めるために血液を凝固させる一連の働き)・線溶系(固まった血液を溶かして分解する)検査などを行っております。
○ 生化学・血清検査… 血液や尿の分析を行います。これらを調べることによって、がん、糖尿病などの生活習慣病、アトピー・杉花粉などのアレルギー反応、エイズ、貧血、白血球、動脈硬化などの血管の状態を知ることができます。検査項目は100種類以上あり、神奈川県立病院の中で最も多項目の検査を行っております。
○ 輸血検査… 輸血は、大量の出血によって循環血液量が減った場合や、貧血によって体の組織へ酸素が運べなくなった場合、あるいは出血を防ぐため凝固因子補充をしなければならない場合に行います。輸血をしなかった場合には、出血性ショック、多臓器不全、出血多量による生命の危険が生じます。ここでは血液型や輸血の安全性を図る交差適合試験、不規則抗体スクリーニング検査、輸血用血液の管理などを行っております。
○ 細菌検査… 細菌検査は、患者様から採取・提出された検体(痰・尿・便・膿などの色々なもの)から病気の原因となる細菌を見つけ、どんな抗生物質が有効かを検査しています。
○ 病理検査… 患者様から採取された臓器や組織からの顕微鏡標本を作製し、病気を検査、診断する部門です。組織学的検査・細胞学的検査・病理解剖の3分野からなります。
 医学は日進月歩変化しており、検査科もそれに対応するために日々勉強をしております。検体検査部門の技師は患者様と直接お会いすることはありませんが、採取された検体を通して皆様を応援しております。

食物アレルギーの診療について

小児科医(日本アレルギー学会専門医)  真部哲治

<食物アレルギーの経過>   
 乳児期にアトピー性皮膚炎として発症するか、あるいは離乳食開始後に、原因食物を直接摂取し、蕁麻疹などの強い症状で発症することが多いです。原因が確定したら、その食物の除去を行っていくのが治療の基本です。しかし、ずっと食べられないのではなく、大部分は小学校入学前には食べられるようになります。
<食物アレルギーの診断>
 食物アレルギーを疑ったら、問診、皮膚テスト、血液検査などが参考にはなります。しかし、その結果だけでは、食べられないのかどうかは分かりません。血液検査で反応が出ていても、食べて実際に症状が出ない事があるからです。確定診断は、実際に食物を食べることにより行います。
<食物負荷試験とは>  
 今まで除去していた食物を実際に食べて大丈夫かどうかをみる検査です。負荷試験は、診断をつけるためとよくなったかどうか(これまで除去しているものが食べられるようになったかどうか)を見るために行います。
 当科では、平成20年9月より、日帰り入院という形で行ってきました。なぜ、病院で行うかというと、アナフィラキシーという重いアレルギー反応が出現することがあり、自宅で行うには危険を伴うからです。
<食物負荷試験の方法>
 基本的に平日の午後に行っています。午後1時40分に小児科病棟にいらしていただき、強いアレルギー反応が出なければ4時半には退院できます。実際に食べていただく食材はお家から持参していただいています。
 負荷食は不均等に3分割し、30分おきに1時間かけて徐々に負荷量を増やします。そして、その後約90分経過観察します。アレルギー反応がでた場合にも、すぐに対処できるよう医師が常にそばにいる状態で行っています。
<当科での負荷試験の実績>
 2008年度は21例、2009年度は85例の検査入院を行ってきました。ある程度リスクの高い方にも積極的に行っている中で、アレルギー反応が出てしまった方は約2割でした。点滴を必要とするような強いアレルギー反応は2名のみと安全に検査を行うことができました。
<食物負荷試験を希望される場合は>
 お子さんが食物アレルギーかどうか気になる方、食物アレルギーがよくなったかどうか気になる方は、火曜日か金曜日の午前中の外来に気軽に御相談ください。年齢やこれまでの経過や血液検査などを参考に、負荷試験を行うかどうか、保護者の方と相談して決めていきます。また、当科では数値の高い方にも積極的に負荷試験を行っています。同じ食物アレルギーでも、程度は人それぞれです。例えば、牛乳0.1mlで反応が出る人もいれば30mlまでは大丈夫という人がいます。牛乳30mlが摂取できれば、パンやバターなどが食べられます。卵ならボーロを摂取できれば、ある程度の加工品が食べられます。状況によっては、部分的な除去の解除を目指して、量を落とした負荷試験(牛乳なら30mlを目標とした)を行い、生活の質を上げるお手伝いをしていきたいと思います。少しでも食事の幅が広がればと思う方はご相談にいらしてください。
<今後について>
 現状に満足せず常に診療レベルを上げる努力をしていきたいです。負荷試験もさらに安全に行えるようなシステムを検討中です。また、看護士達が食物アレルギーの診療に慣れるよう教育にも力を入れていきたいと思います。地域の食物アレルギーを持つ子供達の生活の質の向上に全力で取り組んで行きますので、今後もよろしくお願いいたします。

足柄上病院ドクター紹介
シリーズK 〜 新任の医師 〜
@診療科 A専門分野 Bモットー(座右の銘) C趣味 Dメッセージ

岡 晶子
@ 総合診療科
A 総合内科、内科一般
B 粘り勝ち
C マラソン、ハワイ
D よろしくお願いします。

伊藤佳壽子
@ 総合診療科
A 総合診療
B 七転び八起き
C お菓子作り
D 短い間ですが、よろしくお願いします。

松本奈央
@ 総合診療科
A これから作っていきたいです。
B 自信は努力の積み重ね
C テニス、読書
D 一生懸命頑張ります!よろしくお願い致します。

町田裕之
@ 小児科
A 小児医療、小児腎疾患
B 畏れは人を勤勉にする。
C 読書
D よろしくお願いします。

沼田幸司
@ 外科
A 外科一般
B やるときはやる!
C スポーツ、映画鑑賞
D 楽しくやりましょう!

北村友一
@ 総合診療科
A 内科全般
B 何にでも興味をもつ
C 読書
D 2回目の赴任になりますが、心を新たに頑張ります。

古賀将史
@ 総合診療科
A 循環器一般
B 人に優しく
C 水泳
D 足柄上郡の地域医療に貢献できるよう努力致しますのでよろしくお願い致します。

渋谷 仁
@ 総合診療科
A 消化器一般
B 明るく、楽しく、元気よく
C スポーツ
D よろしくお願いします。

土田知史
@ 外科
A 消化器外科
B 一生懸命
C サッカー
D 7年ぶりに戻ってきました。よろしくお願いします。

伊藤りえ
@ 整形外科
A 外傷、手の外科
B 一致団結
C 旅行、ダイビング
D 宜しくお願いします

竹内久恵
@ 整形外科
A 整形外科一般
B 健康第一
C バドミントン
D よろしくお願いします。

安部宏一
@ 泌尿器科
A 泌尿器一般
B 一生懸命
C サッカー
D よろしくお願いします。

〜 転入の看護科長 〜
@病棟  Aモットー(座右の銘)  B趣味  C一言メッセージ

藤澤なお子
@ 4A病棟
A 深刻ではなく真剣に。
B 読書(ミステリー)旅行
C 心地よい療養環境づくりに努力いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

杉山恵子
@ 5A病棟
A 健康第一(よく食べて、よく寝る)
B 音楽鑑賞
C 足柄上病院は、はじめてです。よろしくお願いします。

栄養管理科新任  
赤枝いつみ
@ 専門・得意分野…「栄養指導等」 
A モットー(座右の銘) … 「一期一会」
B 趣味…「読書」
C メッセージ…よろしくお願いします。

病床管理担当者新任  
看護師
山本明美
地域の方々の急患時に安心して利用して頂けるように頑張ります。よろしくお願いします。

地域医療連携室新任
看護職
田中純子
 亜急性病床を担当させていただくことになりました田中です。
 主な業務は、リハビリ期にある人の在宅復帰支援です。地域の関係機関と連携し住み慣れた地域での生活が安心してできるよう支援させていただきますので、よろしくお願いします。

医療ソーシャルワーカー
竹内和馬
 医療ソーシャルワーカーとして、医療福祉相談部門の担当となります。社会的に問題を抱えた患者様やご家族を支援していけるよう、努めていきます。
 よろしくお願いします。

平成22年度 看護の日・看護週間記念行事開催のご案内
 今年は、看護の日(5月12日)・看護週間が制定されて20周年を迎えます。本年度も「看護の心をみんなの心に」をテーマに、様々な記念行事を5月10日(月)〜5月15日(土)に、高校生の一日看護体験を7月29日(木)に開催することとなりました。
 入院中の患者様を始め、面会の皆様、一般の方のご参加が可能なものもありますので多くの方にお楽しみいただきたいと思います。

企画名 対象 開催日 場所 内容

ワゴンティーサービス看護週間カード
入院患者さんとご家族
5月10日(月)14:00〜
各病棟
メッセージカードを添えた記念の行事食とお飲み物をお届けします。

ベッドサイドコンサート
入院患者さんとご家族  
5月12日(水)5月14日(金)14:00〜16:00
各病棟
ボランティアによる演奏会を行ないます。和やかで寛いだひと時をお楽しみいただきます。

介護教室ちびっこナース体験
入院患者さんのご家族 地域住民
5月15日(土)13:00〜15:00
講義室
介護教室:院内講師による介護教室を行ないます。
(事前申し込み 定員40名)
ちびっこナース体験:看護衣を着て記念写真を撮りプレゼントします。(事前申し込み)
部署紹介
看護週間〜1ヶ月程度
売店前
病院内の部署や職員を紹介するパネルを掲示します。

一日看護体験
医療圏内の高校生20名
7月29日(木)13:00〜17:00
各病棟
医療圏内の高校生を対象に、看護への理解を深めていただけるよう、一日看護体験をしていただきます。

あれも!これも!みんな! 考えてみよう 足柄上病院

皆様ご参加ありがとうございました

平成22年2月20日(土)開成町福祉会館にて開催
《シンポジウム》基調講演:山本 裕司 病院長『頑張ります宣言!』
        地域の声:足柄上医師会、病院ボランティア、患者さん
        コーディネーター:露木 順一 開成町長
《体験コーナー》メタボチェック、ちびっ子ドクター&ナース体験
《相談コーナー》健康相談、お薬相談、患者食展示と栄養相談、育児・母乳相談
 ■共催… 開成町、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町

発 行:神奈川県立足柄上病院
    〒258‐0003神奈川県足柄上郡松田町松田惣領866‐1
(TEL)0465‐83‐0351(FAX)0465‐82‐5377
    http://kanagawa-pho.jp/osirase/byouin/asigarakami
編 集:神奈川県立足柄上病院地域医療連携室 (内線)3178