平成21年1月1日号

新春号(通刊 第30号)

年頭のご挨拶  −職員の皆様へ−  院 長 宮本一行

 新年明けましておめでとうございます。
 医療の荒廃が毎日のように報道される中、足柄上病院も医師の定員割れ、患者さんの減少そして一病棟の閉鎖など厳しい状況にあります。そのような中、職員の皆さんの多大な努力のお蔭で毎日の診療そして救急対応を行なってくることができました。皆さんに心より感謝いたします。今後も地域の人たちにとってなくてはならない病院として存在するために医師と看護師の確保に努めながら医療体制を整えてゆきたいと思います。
 院長として4年目になりますが毎年、新人を迎えた時に「患者さんは常に不安感を持っていることを忘れないで欲しい」ということを話してきました。そして昨年度の医師の診療マニュアルに「医師はタフでなければやっていけない、しかし優しくなければやっていく資格は無い」ということを書きました。これはどの職種の人にも言えます。診療の始まりは人と人との出会いです。いくら医療体制が整っても出会いがうまくいかなければぎくしゃくとした関係となってしまいます。患者さんは何気ない言葉や表情で傷つくものです。患者さんが安堵感を持てるような病院を皆さんと一緒に目指してゆきたいものです。
 さて今年は来年の3大事業に向けて準備する年です。3大事業とは独立行政法人化、DPC導入、そして病院機能評価の受審です。すでに昨年から準備を始めていますが、力をあわせ是非とも乗りきってみましょう。
 最後に、皆さんの健康とご多幸を心から祈念し、新年のご挨拶といたします。

地域医療機関訪問の報告  地域医療連携室長 中橋 満

 昨年9月より3ケ月間に亘り、診療所並びに老健・福祉施設等を訪問させて頂きました。この訪問は4年前より地域医療連携室の業務の1つとして毎年行ってまいりましたが、今回は足柄上郡を中心として、小田原市、秦野市、御殿場市を訪問しました。そもそもこの訪問の真意は、かかりつけ医を中心とした医療体制の強化にあります。入院ベッドを持ち高度医療機器を有する病院は救急医療、高度医療に専念する所謂後方連携の任を担う訳です。そのためには地域医療機関相互の信頼関係の構築が必要不可欠です。地域医療関係者が集まる機会は少なからずあるのですが、腹蔵無き意見をかわす場にはなかなか到っていないのが現状です。固定人事の医師に関しては在籍年数も長いため、ある程度は顔の見える連携が行われていますが、1〜2年で交代する医師に関しては難しいようです。このため、地域医療連携室職員が代表して足柄上病院に対する要望・クレームを拝聴し、改善すべき点は速やかに改めるように努めております。外来診療中で大変混雑している最中での短時間の面談でしたが、以前お伺いした頃に比較すると大分クレームは少なくなったように思えます。(※患者さん及びご家族の方々からのクレームはアドボカシー室にて毎日承っており、病院全体の改善のために役立てております)今回のクレームの中で一番多かった事は患者さん急変時の対応についてでした。10件位の対応拒否があったようです。殆んどが人手の少ない夜間帯の事例で、手術・検査中のためか、あるいは重症者の処置中のために対応が困難であったようです。医師どうしの通話でなかったことにより正確な病状の伝達が不充分であったため他院に転送された症例が2例ありました。幸いにも大事に至った症例は無かったようですが、最近の新聞・テレビ等で問題となっている産科の事例のように医師不足の問題は当院においても深刻であり、対岸の火事と考えてはならないと考えております。勤務医の辛さを経験なさっている診療所の先生方の中には好意的に考えてくれる方もいらっしゃいますが、甘えることなく"頼りになる病院"と真に評価されるよう今後も努力を重ねてまいりたいと思います。
 今回の訪問のもう1つの目的は各医療機関の診療機能を把握することでした。高齢化が進む中、療養型病床の削減、在院日数短縮等、今後ますます在宅医療が増えてくることが予想されます。かかりつけ医と病院の連携のより一層の強化が急務となってきます。患者さんが安心して在宅療養に専念できるようにするためには地域の医療機関の機能を生かし合って、より負担の少ない在宅医療を行っていく必要があります。医療機関の診療機能を正確に把握することは非常に重要なことです。因みに足柄上病院の診療機能に関する情報は2年前より各医療機関に配布してきました。残念ながら、足柄上病院ではハード面・ソフト面の事情で全ての疾患に対し対応できる訳ではありません。従って、対応し難い疾患に関しては連携する大学病院等に紹介させて頂いております。今回も各診療科より提出された新たな情報を追加した診療機能情報を配布しております。今回ご提出頂きました医療機関の診療機能は在宅医療に移行する患者さんに役立ててまいりたいと思います。
 病診連携無くして足柄上病院の存続は危ういという認識を常に持ち、地域住民の皆様方にお役に立てる病院となるよう、より一層の努力を重ねてまいりたいと思います。

足柄上病院眼科における臨床指標(クリニカルインディケーター)
眼科部長 高倉保雄

 医療の質を評価するための数値をクリニカルインディケーター(臨床指標)というのであれば何を評価の対象とするかが問題となってくる。
 外来診療の質を評価するのはなかなか難しく、診断が正しいのか、治療法は的確なものであったか、治療期間は適正か等々いろいろ評価しうる項目はあるが、実際これらを他施設と比較、検討することはかなり困難であろうと思われる。
 では、現時点において何を評価しうるかというと、どんな手術をどのくらい行っているかや、手術や治療開始までの待機期間、入院期間などがあげられる。
 現在、当院における手術室での手術は白内障手術がほとんどであり、その件数は右表のとおりであり年々増加している。
 私が着任した頃は年間100件にも満たなかったわけであり、件数自体は大分増加してきている。
 ただ、今後も同様な増加率が望めるかというと事はそう単純ではない。このことに関しては、手術を行うのが私一人であり、また器械の問題(かなり旧式のものが多い)や、手術件数を増やせば当然その前後の検査・処置も増えてくるなどなどの問題があり現体制ではそろそろ限界に近づいているのかとも考えている。
 では、手術待機期間はどれくらいかというと、当初は3〜4ヶ月待ちであったが、最近は手術件数を増やしたことなどにより1ヶ月前後の待ち時間に短縮されてきている。
 また、白内障手術で言うと、手術後によく見えていたものが徐々に再び見づらくなってくる後発白内障という疾患がある。これは、白内障の手術をやる以上、何%かは必ず起こってしまうものであるが、治療は簡単でヤグレーザーというものを行えば翌日には視力がほぼ元に戻るという有効な治療法がある。しかし、残念ながら、このレーザーはまだ当院にはなく、同じ患者さんを集めて年に2〜3回器械を借りてまとめて処置を行っている状況である。ところが、これは医療の質の面からかなり問題であると考えている。
 白内障手術で一度良くなった視力が、この後発白内障のために再び見づらくなり、しかも器械さえあれば翌日にも視力が元に戻るのに器械がないために、その処置に最大半年近くも待たされてしまうという状況は何としても早く改善したいと思っている。
 白内障手術の入院期間については当院では現在は3泊4日が主体となっている。最近は日帰り手術を行うところも増えてきているが、手術という点で考えると日帰り手術が入院して行う手術よりも良いというわけではない。術後の安静を保つという事や入院していれば待ち時間なく診察をうけられる点、また当院は合併症を持った方や高齢者の患者さんの比率が高いことなども考えると当面は入院手術を基本とする方向でよいのではないかと考えている。ただ入院日数は当初1週間程であったので短縮する方向には向かっていると考えてよいと思う。
 いずれにしても常勤医1名、視能訓練士1名、外来看護師1名という体制は有効な診療体系を組む上でもかなりの制約をうけざるを得ないわけであり、今後、医療の質をより向上させていくためには人員と資金がやはり必要であり、その方向で物事を進めていけば医療の質も良い方向に進んでいくと思われる。

産科医療補償制度のご案内
 分娩に関連して発症した重度脳性まひの児とその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、原因分析の実施等による産科医療の質の向上を図るため、平成21年1月1日から産科医療補償制度が発足することとなりました。 この制度は、妊婦の皆様が安心して産科医療を受けられるように分娩機関が加入する制度でありますので、当院も産科医療補償制度加入分娩機関として制度に加入いたしました。

【補償対象】分娩により次の基準を満たす状態で出生した児
・出生体重が2,000g以上かつ在胎週数33週以上
・身体障害者等級1・2級相当の重症者
※ 出生体重・在胎週数の基準を下回る場合でも、在胎週数28週以上の児については、個別審査により補償対象となることがあります。

【補償金額】1児あたり総額3,000万円

【妊婦登録】妊婦が産科医療補償制度に加入するためには、当制度への登録が必要となります。

【費  用】1分娩あたり 3万円
    (平成21年1月から出産育児一時金に補償制度加入費用分として増額されます。)

【問い合せ先】神奈川県立足柄上病院 医事経営課医事担当 (内線)5102〜4

春期インターンシップについてのお知らせ

 当院への就職を考えていらっしゃる看護師、看護学生の方に、病院を知って頂き、就職した時のイメージを持ってもらうことができればと考えています。

日 時:平成21年3月14日(土)9:30〜14:30(受付開始9:00)
場 所:3号館1階 講義室(受付場所も同様)
対 象:就職を希望する看護師、看護学生
内 容:病院オリエンテーション、病棟での見学・看護体験など
申し込み方法:以下の内容を記載して頂き、看護教育科宛に
       FAXでお申し込みください。
受付締切:平成21年2月6日(金)
     @氏名(ふりがな)
     A住所・電話番号
     B学校名(学年または卒業年)
     C希望病棟(診療科)
     D感染症(麻疹・水痘・風疹・流行性耳下腺炎)の既往歴・予防接種の有無

*看護学生の方は、学校で使用している白衣・靴・名札をご準備ください。その他の方で、準備ができない方は、白衣・靴のサイズを記載して下さい。
*昼食は各自で御持参下さい。
*見学病棟は、希望に沿えない場合もあります。
*詳しい内容はホームページでもご覧になれます。

お問い合わせ:足柄上病院 看護教育科(内線5508)

発 行:神奈川県立足柄上病院
〒258‐0003神奈川県足柄上郡松田町松田惣領866‐1
(TEL)0465‐83‐0351(FAX)0465‐82‐5377
http://kanagawa-pho.jp/osirase/byouin/asigarakami
編 集:神奈川県立足柄上病院地域医療連携室 (内線)3178