平成20年1月1日号
新春号(通刊 第26号)

新春のご挨拶

病院事業庁長      
堺秀人

 明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましては、日ごろより神奈川県立足柄上病院へ様々なご配慮を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。
 足柄上病院を含む神奈川県立病院群は、激変する医療情勢の中で、わかりやすくて質が高い医療を県民のご負担ができるだけ少ない形でご提供するようにというご要望に応えるには、今後どのような形が望ましいかということを検討しております。去る12月3日には、外部の有識者の方々による「県立病院あり方検討委員会」から、今後のあり方についての報告書が知事へ提出されましたので、その要点を以下にご報告いたします。
 足柄上病院をはじめとする県立病院群について、検討委員会のメンバー各位は様々な方向からのご討議に加えて、実際に病院を視察されて感想を述べておられますので、以下にその一部をご紹介いたします。「足柄上病院は、17の診療科を有し、足柄上地区の中核病院として、救急医療、周産期医療を行うとともに、県西部地震に備えた災害医療拠点病院としての機能などを担っている。今後も地域の中核的医療機関として、救急医療の充実や地域において高齡化が進んでいる状況に対応した高齢者総合医療などを推進していく必要がある。他方、高度な医療機器が整備されているが、現時点ではそれらを十分に活かすまでの患者数に達していないので、今後さらなる業務改善を行う必要がある。」
 県立病院群全体について報告書は、引き続き神奈川県立ではあるが、経営形態としては非公務員型の地方独立行政法人へ移行することが望ましいと結論されました。報告書の提出を受けて、今年度末を目途に県としての方針が決定される予定です。
 いずれにいたしましても、足柄上病院が今後も県立病院として皆さまのご要望にお応えするためには、救急医療や周産期医療の一層の充実が急務であることは肝に銘じております。今後も職員一同と共に努めてまいりますので、なにとぞ一層のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

年頭所感

院 長         
宮本一行

 新年明けましておめでとうございます。
 「あしかみ」を病院理念として掲げ、院長として3回目の新年を迎えました。
 足柄上病院は昭和25年に発足し今年で58年(県への移管は昭和23年であり60年になります)となりました。サラリーマンにたとえるならまさに定年を迎えたことになります。しかし昨年、「神奈川県立病院有り方検討委員会」は足柄上病院も他の県立病院と同様に一般地方独立行政法人化への移行が知事に答申され、引き続きこの地域での医療を担うチャンスを与えていただきました。新聞などで「足柄上病院の独法化」が報道され、多くの方に足柄上病院はなくなってしまうのではないかという心配をおかけしましたが、そのようなことはありませんのでご安心下さい。病院の経営形態が変わろうともこれまでと同様の病院の運営方針に沿って足柄上病院は存続いたします。それどころか今よりも柔軟な対応ができる病院になると私は考えています。今後も徹底した業務改善を図ると共に地域の人たちが期待する医療、すなわち救急医療そして高度医療の推進に向けて邁進していく所存です。しかし医師不足の波は足柄上病院にもおよび、医師の充足がさらに困難となってきています。何とかこの苦境を乗り切り、良質な医療を提供できるように最大限の努力をはらってゆきたいと考えます。今後も一層の理解と支援をお願い申し上げます。

「お産」体制の充実に向けて
―助産師による院内助産の取り組み―

看護局長       
高橋厚子

 皆さま、新年明けましておめでとうございます。昨年は看護局に対し、いろいろとご支援、ご協力をいただき感謝しております。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、年号が昭和から平成に変わって早くも20年になり、この間、わが国は少子高齢化が急速に進んでおります。足柄上病院は地域の中核病院として、このような社会の変化に対応した医療を提供する努力をしてまいりましたが、この役割は今後とも変わることはないと考えております。そこで新年の話題として、今、社会問題となっている「お産」について、当院がこれから取り組もうとしていることについてお話しをしてみたいと思います。
 一昨年の春、当院では医師確保難により産科が休止になる危機に見舞われましたが、関係者の努力により危機を克服することができました。
 これからは、お産の体制をさらに充実するため、条件が整い次第、助産師による院内助産に取り組みたいと考えております。これは、産科医師の許可のある正常な妊娠・分娩経過の妊婦さんについて、助産師が外来で定期検診を行い出産から産後のケアまでしていこうとするものです。具体的には、妊娠20週までは、医師による検診を、その後助産師によるお産を希望される妊婦さんは、お産まで助産師が外来でフォローし、出産は助産師の介助による自然分娩となります。
 そのため助産師は、妊婦検診や保健指導、畳の上でのお産や夫の付き添いなど希望を取り入れた自然分娩、お産後の母乳育児指導などで専門的知識や技術を発揮し、地域の皆さまに安心してお産をしていただけるよう研修等を積み重ねております。
 また、医師との連携をより強化して異常時には直ちに医療処置ができる体制を整え、安全なお産ができるようにしたいと考えております。
 もちろん、現在行っている医師による検診・お産と助産師による産後のケアはこれからも従来どおり実施してまいります。
 地域のニーズに応え、少子化対策の一助にもなるよう、安全で安心なお産ができるよう体制の整備に職員一同今後とも努力してまいりますので、ご支援をよろしくお願いいたします。

在宅医療に対する足柄上病院の取り組み(第3報)
−訪問診療における小さな工夫−

地域医療連携室長     
中橋満

 昨年5月より地域医療連携室職員による院外への訪問診療を開始しましたが、大変好評でその後も順調に推移しております。持ち運びに大変苦労していた20sの超音波装置も病院幹部が見るに見兼ねたのか、3sのノートパソコン型の簡便な装置に更新されました。過日、当院をかかりつけとする在宅療養中の患者さんが夜になっても尿が出ないから診察してくれないかとの連絡が訪問看護師よりあったため、早速この装置を持参して訪問しました。腎臓と膀胱の超音波検査の結果、脱水・低血圧症による乏尿と診断しました。むやみに導尿などをして患者さんに苦痛を与えることもなく点滴による補液の結果、無事利尿がつき在宅療養を継続することができました。超音波装置持参の訪問診療を行っている先生は少ないように見受けましたので、泌尿器科領域の腎臓・膀胱・前立腺ばかりでなく、胆・胆道系及び婦人科領域の子宮・卵巣等の超音波検査も極力行うようにしました。(膵臓の超音波検査は技術的に未熟なため現在勉強中です。)
 さて、私達の訪問診療は当初より泌尿器科領域の患者さんにのみ限定しております。高齢者が多いため殆んどが他疾患を合併しており、同時にかかりつけ医による往診を受けている方が半数以上を占めます。ほぼ全員が訪問看護師・介護支援専門員の支援も受けています。このように複数の医療スタッフが在宅医療に係わっている場合には情報を一元化することは適切な医療を提供する上で大切な事です。足柄上病院では患者さんが在宅療養に移行する際には医療情報を一元化した医療情報提供書を発行していますが、古くなった情報では現在の病態を正確に把握することはできません。そのために新たに患者さん用の訪問診療用カルテを作成してみました。通常のカルテと同様に身体所見・診療内容を記載し、血液検査結果・超音波画像を添付し、場合によっては病院受診時のX線検査所見も記載しております。字が下手で読みづらいかもしれませんが全ての人が理解できるよう日本語で書いてあります。この訪問診療用カルテはご家族あるいは施設の方にお渡しし、かかりつけ医による往診、訪問看護・介護の際に供覧していただくことにしております。場合によっては連絡メモとしての機能も有します。無論、病院保管のカルテにも同様の記載を行うため仕事が繁雑となりますが、足柄上病院が予てより推奨している2人主治医制を在宅医療でも行っていくためにも是非とも必要なことと考えています。(地域の訪問看護ステーションを交えた在宅医療検討会での席上で、大変勉強不足でしたが地域の診療所の先生の中には同様のカルテをご家族にお渡ししている方もいらっしゃると分かり、ますます意を強くしました。)昨年9月には足柄上病院地域医療連携室に待望のインターネットが接続されました。足柄上医師会が予てより提唱しているイントラネットによる情報交換が本格的に稼動していくためには人的、時間的余裕が必要で、しばらくはこのような「紙」による情報交換しかできないことをご理解下さい。
 なお、在宅療養に伴うご家族の負担を少しでも軽減するためのもう1つの工夫として、今までは後日会計のために病院にご足労をお願いしてきましたが、訪問診療の際に私が処方箋と会計明細書を持参することにより最寄りの銀行に振り込んで頂くことも可能となりました。
 短い期間ですが、患者さん及びご家族と密に接触できる在宅医療を経験し、そこには病院の中からでは見えない様々な問題を抱えていることを再認識しました。今後はより一層現場の声に耳を傾け、快適な在宅療養が継続できるよう足柄上病院一同尽力してまいりたいと思います。

おっぱい大好き倶楽部」にあつまれ!!

 皆さんは、WHOの「母乳育児を成功させるための10ヶ条」をご存じでしょうか。
 また、それを実行している医療機関に「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」という認定がおくられることをご存じでしょうか。当院では、平成15年からWHOの10ヶ条をもとに母乳育児方針を作定しかつ産後ケアを10ヶ条に即したものに変更し、BFHの認定を目指した取り組みを始めました。しかし、10ヶ条の10条である「母乳育児のための支援グループを作って援助し、退院する母親にこのようなグループを紹介すること」の支援グループが地域に存在しませんでした。そこで、当院自らその役割を担おうと、退院後の母乳育児の不安や育児サポート、ママさんたちの仲間作りの場づくりということを目的に「おっぱい大好き倶楽部」を開催することにしました。
 第1回は、平成18年度に当院で出産された方を対象に平成19年2月に行われました。当日は講義室があふれるほどの参加をいただき、母乳と離乳食というテーマで、当院スタッフが話をしたり、母乳育児相談を行ったりと大変好評でした。それ以後、母乳育児支援事業とし、当院で出産された親子を対象に3ヶ月毎に定期的に開催することにいたしました。内容としては、専門家などによる母乳に関する話や母乳育児相談、お子さんの体重測定や発達相談を中心に行っています。また、日頃母乳育児を行っている人や現在行っていない人でも母乳の新たな発見や知識を持ってもらうことや育児について悩んでいることを率直に相談できる場となるように努力しています。
 昨年9月に開催した「おっぱい大好き倶楽部」の模様をお知らせします。

他のお母さんの体験談に同感したり、助産師さんのお話に勇気づけられました。母乳がいかに良いかを再確認。その他、育児の話が面白く、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

他の赤ちゃんを見てそれぞれ個性があるんだなと思いました。二人目もこちらでお世話になりたいです。

同じ月齢のママさんだったので、同じような話ができて少し不安が和らぎました。またあれば参加したいです。

現在は、当院で出産された方を対象としていますが、いずれはそれ以外の方も参加できるように考えています。そして当院が地域で母乳育児の中核となれるように努力していきたいと思います。
*連絡先 神奈川県立足柄上病院 3A病棟 0465−83−0351(代)
次回開催日 3月21日

足柄上病院整形外科における臨床指標
(クリニカルインディケーター)

整形外科部長       
八十田貴久

当院の診療内容を患者様に公開することを目的に臨床指標(クリニカルインディケーター)を開示して参りました。
 総合診療科、循環器科、外科に続き今回は整形外科の診療内容の一端をお示ししますので参考にしていただければ幸いです。
 整形外科は四肢・体幹部・脊椎の骨折・外傷、膝・股関節などの加齢による関節障害、脊柱管狭窄症、靭帯骨化症、椎間板ヘルニアなど脊椎疾患、関節リウマチ・痛風などの慢性炎症疾患、スポーツ外傷などなど幅広い疾患を扱う科です。
 今回は18年度に当院で入院手術治療を行った疾患の内訳を示すとともに、高齢化社会で頻度の増している大腿骨頸部骨折の入院日数について平成18年と19年の比較をお示しします。
 当院の特徴として骨折などの外傷、特に高齢者の大腿骨頸部骨折の手術治療が多く、臨時(予定外)手術が定時手術と同数である点です。さらに受傷当日に急遽行った緊急手術も25件ありました。
内訳としては大腿骨頸部骨折以外では四肢体幹部の骨折、人工関節、脊椎手術の順に多い傾向がありました。
 スポーツ整形の専門医赴任に伴い少しづつではありますが膝靭帯再建、肩関節制動術などの手術も増加傾向にあります。
 当院は地域の中核病院ですから外傷の救急医療をいままで以上に応需し急性期医療を充実させたいと思います。
 最後に平成18年4月から10月入院の大腿骨頸部骨折の患者様の在院日数では平均39日でしたがクリニカルパス(均一で良質な医療を提供するための手順)を導入し集学的治療(手術、リハビリ、地域医療連携室との協力など)により平成19年同時期では平均31日と8日間の短縮を達成しました。

手術件数(平成18年4月1日〜平成19年3月31日)
 
総手術件数422
予定手術198
臨時手術199
緊急手術25

院内情報コーナー

心をこめてコンサート

 演奏が終わった時に、ご婦人が小走りに寄ってきて突然お礼を言われました。ご婦人の話の趣旨は「今日の演奏を聞かせていただいた。長期入院で最近はほとんどしゃべることもなく、内にこもった状態のその主人が演奏中は終始歌を口ずさみ、顔の表情も今までにない生きいきとしていたのがとても印象的で嬉しく感動しました。本当に有難うございました。」といって去っていかれました。平成13年11月のことで、私たちの上病院音楽ボランティア会設立の原点になったものです。音楽を通して心の交流を図るために、患者さんにとって和み癒しのひとときになるような音楽創りを目指してまいりました。
 幸い、地域に密着した演奏者の皆様の熱意ある参加をいただき、月1回のペースで68回の演奏会を企画、開催しました。多くの患者さんの感謝の意を病院側より聞いています。これからも、皆様の力添えをいただき、心をこめてコンサートの開催を企画してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(県立足柄上病院音楽ボランティア会事務局 柳川清二)

★ディルームコンサートこれからの予定
1月ソプラノ独唱橋本 京子・宮崎 香織
2月足上寄席(落語)山際かおる
3月ピアノ独奏小酒部麻美
4月筝の調べ邦楽ボランティア“みち”

地域住民対象「医学講座」についてのお知らせ

めざせ! 生き生き家族
〜高齢者と、家族の健康をみつめる〜
からだへの気配り、はじめませんか?

足柄上病院・南足柄市共催 第8回医学講座
テーマ:「身近な誰かが倒れたときあなたならどうしますか?〜心肺蘇生法とAEDの使い方〜」
日 時:2月16日(土) 10:00〜12:00
場 所:南足柄市中部公民館 1F講堂
講 師:足柄上病院  循環器内科医師 清水 智明 臨床研修医 看護師
定 員:事前申し込み制 先着40名
参加費:無料
参加申し込み:FAXまたは官製はがきに、氏名・年齢・住所・電話番号を御記入の上、1月15日から以下のあて先にお送りください。
FAX0465−82−5377 県立足柄上病院 看護教育科 橋本千加子 行
*はがき・FAX到着にて参加決定となります。定員になりご参加いただけない場合のみご連絡いたします。
服 装:スリッパなど室内履きをご準備ください。
講義と共に、心肺蘇生、AEDの使用体験があります。動きやすい服装でお越しください。
皆様のお申し込みをお待ちいたします。
お問い合わせ… 看護教育科 橋本

発 行:神奈川県立足柄上病院
〒258‐0003神奈川県足柄上郡松田町松田惣領866‐1
(TEL)0465‐83‐0351(FAX)0465‐82‐5377
http://kanagawa-pho.jp/osirase/byouin/asigarakami
編 集:神奈川県立足柄上病院地域医療連携室 (内線)3178